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ブギ―ポップは笑わない [学園オカルト]

ブギ―ポップは笑わない (2000年)東映

監督 金田龍  脚本 村井さだゆき  原作 上遠野浩平 音楽 松浦由紀

配役

宮下藤花&ブギ―ポップ (吉野紗香)  霧間 凪 (黒須麻耶)
百合原 美奈子&マンティコア (酒井彩名)

末真 和子  (清水真実) 紙木城 直子 (三輪明日美) 新刻 敬(広橋 佳似)
草津 秋子  (黒石えりか)  木下京子 (馬場育子)
早乙女正美  (高野八誠) 才村明雄 (沢木 哲) 竹田啓司 (川岡太次郎)
田所教師   (螢 雪次郎) エコーズ (寺脇康文)
 
主題歌 「夕立」(スガシカオ)

ロケ協力 鶴見女子中学&高校

◆・ストーリー

 口笛を吹きながら人を殺すブギ―ボップ(吉野紗香)、正体は誰にも判らない都市伝説
のような存在だが、学校に救っている魔物を倒し、地球の危機を救うために現れた。
宇宙から、悪の要素を持った悪魔「マンティコア(酒井彩名)」が地球に逃走して、
人類社会に入ったのだ。マンティコアは、エコーズ(寺脇康文)のコピーに失敗した悪の要素を
備えた悪魔で、人を食べてしまうという。
深陽学園では、家出して行方不明になった生徒が次々と出て来て不気味な噂が飛び交う。
マンティコアと協力する早乙女(高野八誠)によって恐ろしい策略が進行していたのだ。

◆・レビュー

 4つの物語、「藤花(吉野紗香)と啓司(川岡太次郎)
「直子(三輪明日美)と明雄(沢木哲)」「美奈子(酒井彩名)と正美(高野八誠)」、
 「凪(黒須麻耶)と和子(清水真実)」、其々の交友物語が独自に進行している
ように見えるが、実際にはクロスオーバーしながら、最後に一つの物語に集約する。

 この4組が各々の出会った頃の回想から物語は始まる。青春時代に誰もが通り過ぎた、
異性や同級生への熱い想いや、擦れ違いの恋愛模様の描写が次々と続く。
やがて、これらの個々の物語が一つに繋がっているのが終盤で判り、ラストで藤花と凪が
、校門で握手する意味も理解出来るような構成になっている。全体像は最後まで集中して
観ていないと判らないだろう。そういう点で、難解な作品と思われる。

 この4つの物語を同時進行させて挿入した手法で、作品は、ホラーとSFと恋愛絡みの
青春物がミックスしたようなバラエティーに富んだ内容に仕上がっている。
 マンティコアの涙から作った薬を飲むと、無気力な奴隷となり、食べられてしまうという、
本当は怖いシチュエーションなのに、あまり恐怖を感じないのは、純粋なホラー物ではなくて
、そういった青春物の要素が入っている為と思う。

 エコーズがマンティコアを倒しても、一体化して光球となり宇宙へ飛んでいく。
そこには善が悪を倒すという単純な構図ではなくて、マンティコアがエコーズのコピーだった
という事で、何か一体感が有ったのではないかと思わせる効果がある。
エコーズが自分を慕ってくれた直子の想いを凪に乗り移らせたように、一度は死んだ凪を
復活させる事で、この作品のタイトルは「ブギ―ポップは笑わない」だが、ブギ―ポップだけが
主役ではなくて、時には直子が、凪が、エコーズが、それぞれ状況に合わせてスポットライトが
当たる事で、物語に奥行きの深さが出て来ている。

ラストの敬と凪の会話が、ズシンと心に響いてくる。
「皆、いろんな思いを抱えて生きて行くんだね」
「伝えられない想いとか――――――」(敬)
「受け止められなかった想いとか―――――― 」(凪)

 この2人の会話のアクセントや話し方には、凄く実感が込められているが、言葉の持つ重さに
本当に気がつくのは、中高年の年齢になり、青春時代が遠い過去の懐かしい出来事になって
からである。取り戻す事の出来ない、自分の中学・高校生の青春真っ盛りの、まだ初心だった頃
の体験や想い出が蘇って来る。

 4組がそれぞれの時間を過ごす時に流れるBGM、愛しさと切なさと懐かしさを漂わす効果が
あり、聞いていると自分の青春時代を振り返らせてくれるかもしれない。
音楽を担当した松浦由紀の才能が光る。

★・この作品では、三輪明日美と黒須麻耶、清水真実の3人の若手女優に注目したい。

三輪明日美
 自由奔放で大人びた態度にユニークな行動と表現力、若い頃の桃井かおりを彷彿とさせる演技
である。同級生と下級生の2人のBFと同時に交際したり、まるでホームレスのようなエコーズに
優しくして、さらに硬派の凪と共同行動する。誠に変化に富んだ日常生活といえよう。
抜群の存在感で出演者の中で一番印象に残る。姉の三輪ひとみとは違った、エネルギッシュで
バイタリティーのありそうな雰囲気が今後を期待させる。

黒須麻耶
 ワイルドで破天荒な役回りを行いつつも、ボーイッシュなお嬢様のような雰囲気を
醸し出している。映画初出演とは思えない素晴らしい演技力に注目したい。

清水真実
 エコエコアザラクTV版第15話「復讐」に出た時には、可愛らしい幼い少女だったが、
ここでは成長した女子高生になっている。純粋な乙女のイメージは健在だ。

 単純なホラードラマではなくて、様々な人間模様を混ぜた難解な脚本を仕上げた
「村井さだゆき」の才能と、それを映像化させた監督の金田龍の野心的な作品として高く評価したい。

★・点数80点

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